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なじめない、生きにくい。そんな子達の青い鳥ドコー?志村!後ろ後ろ!

8東大文III フランス語選択オリ合宿での出会い

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はじまりはいつもK

超有名私立中高一貫卒なのに、

どこにも属さず、かつ、プライベートに

遠慮なく入ってくる変わった男がいた。

Kだ。


オリ合宿の自己紹介で、

ぼくの番が来たあと、

Kから、話しかけてきた。


ぼくの高校の場所や

出身地のことをよく知っていた。

「青春18きっぷで行ったんだ、

近くに○○川があって、

そこはゲンジボタルで有名で、

沼の方にはヘイケボタルがいるって

駅前の○○商店のおばちゃんが教えてくれたけど

日帰りだから見られなかった。


最近、塩化ナトリウム単純泉だけど

足湯もできたって。


水も空気もごはんも美味しくて、

本当にいいところだった。

いつか泊まりで行きたいなぁ」


二度と帰りたくない田舎の話なのに

Kにそう言われると

妙に嬉しかった。

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ウルトラクイズとK

好きなテレビ番組を聞かれて、

アメリカ横断ウルトラクイズと答えると、

Kの目が輝いた。

そして

「優勝した、能勢さんて知ってる?

兄の同級生だったんだよ」と

なぜかさびしそうにつらそうに言った。


近年の問題全文と答えの詳細を覚えている人は

自分以外で初めて出会った。


ぼくらはお互い目を見て、

作り笑いせずに、話すようになった。


Kは、東京人としては珍しく、

東京を絶対視しなかった。

Kは、もっと広い世界をみていたんだと思う。


繊細な遅刻魔

ぼくが完璧に綺麗なノートをとっていることは

既にクラスで話題になっていた。


試験対策プリント作成の委員にも

誘われたほどだった。


説明しておくと、ぼくの出身大学では、

教員による欠席者ケアがほとんどなかった。


代わりに、

ボランティア学生が

シケタイ(試験対策委員会の略かな)という

互助組織を毎年継承 運営していた。勝手に。


何人かで分担して、授業内容や過去問その他を

ノートにして、

クラス全員分コピーして、

皆で共有するというかたちだ。


ひとつ上の学年が、

同窓の優秀な新入生に声をかけて、

そのへんがクラスの字の綺麗な子に声をかけて、

みたいなかんじで、やっていた。

当然、中高一貫のOB OG色が濃い。



ノブレスオブリージュとか、

社会勉強とか、

暇をもて余した神々の遊び、

みたいな……

意識の高い独特な雰囲気をもった

シケタイの面々や

いかにも文武両道パワーエリートです!な

シケチョウこと、

シケタイ長の白い歯に気後れして、

丁重におことわりしたので

ぼくのノートが

コピーで共有されることはなかった。

損得なしの友達

最初は、Kも

ぼくのノートをほしいのだろうと思った。


中学でも高校でも、

恐らくうっすらと嫌われていたぼくにとって

友達付き合いとは、

心を開き合うことではなくて、

綺麗で正確なノートを取り、

貸してやることだった。



ところが、

Kはぼくのノートに興味なんて

まるで示さなかった。


語学の教室でも、どこでも、

遅刻してきて、講義を聞くわけでもなく、

いつでもたくさん汗をかきながら、

ただそこにいた。



ある日、いつものように

語学のコマに遅刻してきた彼は、

ぼくのそばに来て、

誕生日おめでとうと言った。


クラスオリエンテーション合宿の

自己紹介で、

強制的に言わされたぼくの誕生日を

Kは覚えていてくれたのだった。


なぜ誕生日など言わねばならぬのか、

腹さえ立ったものだけど、

覚えてくれていたんだ。


自分でも何をしていいかわからない、

東京砂漠で迎えるはじめての誕生日。

ただ嬉しかった。

無欲でおだやかなK

Kは、寮生だった。

端々に欲のなさ、

お育ちのよさが感じられる

裕福な家庭の子だった。

それにしては、

金銭感覚がぼくと近かった。



キャンパスのあちこちでぼくの知らぬ誰かと

「おう」「久しぶりー」と言い合ってたけど、

つるんでいる様子はなかった。


童顔だからわからなかったが、

恐らく浪人していたのだろう。


Kは、噂話も自分がたりもほとんどせず、

直接見聞きしたことや、失敗談、

仕入れてきた面白い話を

わかりやすくよく話す男だった。


バイトの時給はいくらだ、

今月はいくらだ、など

数字に関しては

聞かずとも全てを話してきた。


話すのはいつもしょうもないことと

難しい哲学っぽいことで

基本情報みたいなものは

お互い知らないままだった。


小6未満

ぼくが、

学業とバイトと遊びの両立で困っていたら

遊び好きな開成卒から

「小6の知識で受かる、割りのいいバイトがある」

と聞かされた。

ノコノコと

サピックス講師の採用試験を受けにいき

全く歯が立たなくてやさぐれていたとき、

Kは

「ぼくも落ちた。

小6のままだったら受かりそうだけど、

ずいぶん頭悪くなってるからなぁ。

Z会の添削も落ちた。

やっぱ肉体労働かなぁ」と笑った。


おいおい、Kよ、

東京の私立だろう、

6年間何してたんだよ、と言うと、

「うーん、なんだろう(笑)

人生について考えていた、かな」

としんみり言った。


ほかのやつが言ったらムカついて

心の中で五寸釘打ってたけど、

Kが言うと、

そうなんだ、なんかあったのかな、と思った。



親とうまくいかなくなって

本気で金がない、と話すKは

時給900円くらいの引っ越しバイトや

高級レストランの皿洗いバイトなんかを

やっていた。


Kはいかにも育ちのいい、

優しい、いいやつだったが、

バイト先が厳しいと、

すぐやめてしまった。

だから全然時給が上がらなかった。


そのくせ気前がよくて、

競馬だかパチンコだかの祝勝会だといって

カールのカレー味と、

安焼酎の大五郎を提げて来た。


自分の持ってきた

カールを大切そうにつまみながら、

Kは、下らない話をした。


「小さい頃、

焼酎とバナナと牛乳パックで

カブトムシが捕れる、って読んだから、

兄ちゃんと庭で実行したんだ。

そしたら、

雨がパックに入ったみたいで!


すぐバナナ腐って、

異臭騒ぎになって。


当然というか、ゴキブリしか来なくて

ガッカリしてさ。


親にバレて。

すぐ捨てろ!と怒られて。


そのまま

キッチンの三角コーナーに入れたら

大目玉を食らった。


酒は自分の小遣いで買ったし、

捨てろと言われたから捨てただけなのに」

なんて言っていた。


「そりゃダメだね、

都内の実家の庭やらキッチンで、

そんなことするなよ」

とぼくが大笑いをすると、

Kも、大笑いをした。


他人に、ダメだね、

なんて言ったこともなかったし

ウケたこともなかったから

新鮮だった。


Kのおかげで、

ぼくの育った田舎は、少し、補正がかかった。


言うほど悪い育ちではなかったのかも、

と思えるようになっていった。



Kの通った、東京の私立の中高一貫について

自嘲気味に教えてもらったりもした。

「自分からコツコツできないと、

ダメだね、やっぱり。 」


と、達観したような口ぶりで言った。


おいおいおい、それ当たり前じゃないか?


コツコツできなくて、遅刻ばかりのKでも

僕と同じ大学にいるのは、

どうも不思議だったが

Kの聡明さ思慮深さはよくわかっていたから

不愉快ではなかった。



「私立がいいとか、公立がいいとか、

そんな単純なものではないと思う」

Kはどことなくふわふわしていて、

ときどきこんな哲学的なことを言っていた。


見栄が友情をミュートする

Kは、ぼくのことを

友達だと思ってくれていたんだと思う。


Kは、甲羅みたいなリュックに

訳もなく重いものを詰めて

よくぼくのアパートに来た。


傍目から見たら、どうみても友達だったろう。


しかし、

田舎から単身出てきたぼくには

どうしょうもなく下らない見栄があった。



他に友達がいない、

と、Kに思われたくなかったのである。



だから自分から誘うことは絶対になかった。

誘われても、3回中、1-2回は、

友達や女友達と会うと嘘を言って、断った。

居留守を使ったこともある。

そうこうするうちに本当に彼女ができた。



結局、

Kとは、濃密だが、

2年に満たない付き合いとなった。


キャンパスが変わるタイミングと

下宿の契約更新時期に備えて

引っ越し先を考え

彼女との同棲をはじめるかどうかというとき、

Kの留年が決まった。


ぼくに彼女ができてうわついていた頃、

Kは

バイト先の店長に言われるがままシフトを入れ、

必修の単位を落としたのだ。


少しばかり責任を感じたけれど、

切り離した。

いつもKから連絡をくれていたし

寮だからと心の中で言い訳して

こちらからは連絡しなかった。


きっと、1年留年して、

こっちのキャンパスに来たら、

また元のようになるはずだ、と、

たかをくくっていた。


ぼくは、無知だった。


会おうと思わないかぎり、

会えなくなる


東京の、魅力であり、

救いであり

寂しさでもあるこの原則を

認識できていなかった。


東京以外でも、都市部では常識と気付いたのは、

大分経ってからだ。


不動産屋の新人研修かのように

たくさんの人に連絡先を聞きまくっていた

開成卒や女子学院卒の姿が、

稲妻のようにフラッシュバックした。

彼らは、無駄なことをしていたのではなかった。



いつか再会したいと思ったときに、

再会できないことの寂しさを

子どもの頃から学んでいたんだろう。


Kのそれから

1年後、こちらのキャンパスで見かけたKは、

別人のようになっていた。


人懐こい笑顔どころか、生気まで消えていた。

甲羅のような背中のリュックは相変わらずだった。


一瞬ぼくは再会を喜びかけ、そしてやめた。


気付かれないように、

道を変えた。



あれ以来、彼のことは見ていない。


連絡先は、

また会える、と思っていたから、

なくしてしまった。



後悔はある。

仕方がないとも思う。



ぼくにとって、友達なんて、そんなもんだ。



友達をほしがる資格なんて、ない。






続きます。

【9】田舎秀才、勝利宣言!
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ASD風味の公立サバイバーと

同、私立中高一貫卒Kの友情編、

ついつい長くなってすみません!

読んでくださりありがとうございます💕

もしかして発達グレー研究所です🍀


※おばちゃんは、東大事情詳しげですが、全入大学卒です🤣


成績凸凹、発達凸凹、

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お手伝いさせていただいております。

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