「もしかして発達グレー研究所」 凸凹ハートの幸せを考えるブログ by QOLT

なじめない、生きにくい。そんな子達の青い鳥ドコー?志村!後ろ後ろ!

勉強中の問題行動3 飴がないなら鞭打つな!

correct-me.hatenablog.com

続きです。

☆叱らないだけじゃだめなんです

叱らない勉強指導方法は、学力向上という点ではとっても有効です。
ほんとに、叱りさえしなければ、
頷きながら横で微笑み続けてあげれば、
0点ゲッターと呼ばれた子も満点を取るようになります(実話です)。


しかし、無視すべきでないデメリットが2つあります。

1 打たれ強さが育たないこと
2 叱られない=愛されていると思い込み、愛してくれる人への試し行為を繰り返すようになってしまうこと。

この2つのデメリット、従来型の療育ではほとんど言われていないのではないかと思われます。

ろくでもない他人にモヤモヤさせられたり、ボッコボコに傷つけられてたときこそ、納得できる落としどころの設定の仕方を教えてくれる親とのやり取りが猛烈な効果を発揮します。


療育は、価値観の介入ができませんので、綺麗事のインストールまでで終わります。
リアルなサバイバルスキルは身に付きません。

幼児期であれば、なるべく傷付かないように守り、敵を排除し、子の思いを代弁し弁護するという、親としての「頑張った感」に陶酔してもいいかなと思いますが、
小学校時代にまでそのスタンスで通してしまうと、高学年以降に無理が生じてきます。

打たれ強さや他者感情の受け取り方、つまり防御力、自衛力を軽視し、全面的に承認でくるんだまま学童期を終わらせる傾向が、「意識の高い 発達支援」に蔓延しています。

このことに、強い懸念を抱いています。

当方にご相談くださる親子さんには、決して忘れてほしくないファクターです。
打たれ強さも能力のうち、愛の受け取り方も幸福のうち。
世の中には怒鳴る人もいびる人もいる、という前提で育成しなければ、あっさり不登校になりあっさりニートになり、繊細ならばあっさり親の苦言を受け止めきれずに自殺します。
これは、発達障害児に限った話ではありません。
殴る子育てばかりが批判されますが、徹底的に誉めて傷付けない子育てをされたニートも今後相当な数出てくると思います。

発達障害の特性そのものは、悪性ではないのです。

定型でも、発達でも、
感じ方の違う人と馴染む方法を身に付けないままでいると「嫌われる/嫌われることを恐れすぎる」という現象が起こりやすくなります。

健全な人間関係に属せない状態が続くことは、メンタルによろしくないのです。
深刻な障害、統合失調症や鬱病、人格障害と相関があるようです。

打たれ強さを身に付け損なうこと、愛=甘い なんでも許してくれると勘違いして試し行為で嫌がらせをしてしまうこと。
これらの破滅的なデメリットを、最小限にするためのtips2つのうち、今回は叱責から学ぶ機会の設定についてお伝えします。

☆叱責から学ぶ力の必要性

勉強中に、叱責されなければ、学習は捗ります。


しかし、たとえ親が叱らなくても、もしかして…なお子さんは、多数派を中心とした行動矯正実績が多い「叱責」という手法から逃れることはできません。

必ずと言ってよいほど、いつかどこかで誰かを激昂させてしまいます。

強く叱られたとき、どうしたらいいかわからなくなります。


「怒りの炎に油を注がない」ための処世術を教えられなかった場合、同級生や同僚に比べやたらめったら叱られる、という現象が起きます。

叱責されては、パニックになります(凍り付いたように黙る、暴れる、大声を出す、悪態をつく等)。何で私だけ、また僕だけかよ、…表現できない不快感が、強いストレスとなるためです。

パニックは、相手の怒りを鎮めるどころか、かえって刺激してしまいます。


これは、もしかして発達障害グレーゾーンの、あるある現象です。
そして、グレーゾーンのお子さんは、自分の怒りの鎮め方が大切だということはよく言われていますね。
それも大切です。
同時に、「相手の怒りの鎮め方」というライフハックの技術もとても大切ですが、あまり言われていません。

相手の怒りを鎮めるというよりは、相手の怒りのピークが過ぎるまで神妙な顔をしたり謝ったり「よい行動」をしたりして、雷の直撃を避ける、と言ったほうが良いかもしれません。

相手の怒りの雷を受けたふりして直撃を避けるというスキルが欠落したまま社会生活を続けると、不安を強め、その不安によりさらに環境が悪化し、精神的社会的なダメージが加速度的に増大していきます。

この事態を防ぐため、叱責される練習と、叱責から学ぶために必要な、自分を落ち着かせる練習をする機会を設定します。

☆耐えうる負荷の中で、自分を落ち着かせ、叱責から学ぶという練習機会

精神的負荷が適切にコントロールされている状態で、叱責から学ぶ経験をサポートしてあげるのです。
「精神的負荷が適切にコントロールされている状態」、つまり、耐えられるレベルの負荷をかけていくのが、肝です。

人の怒りの炎に油を注ぐ達人であるために、いつも、制御不能な山火事状態の怒りの前に呆然としたりパニックを起こしたりする習慣がついていることがあります。

これには、叱る側の精神面が重要です。

大規模な山火事状態にならないよう、本気にならないようにするのにはコツがいります。

「ぶっちゃけこいつがどうなろうと知ったこっちゃねえけどよ」ぐらいの心構えを持つとか、叱責を始める前に心の中で「ショートコント! 怒り!」と言うとかして、ヒートし過ぎないようにするのが、お子さんのSST(ソーシャルスキルトレーニング)効率を上げることにつながります。

叱責の落としどころを考えながら、叱る側自身が冷静に、今は訓練中である、ということを意識し続ける必要があるわけです。



叱る側が冷静でいるためにも、お子さんを勉強恐怖症にしないためにも、「勉強中の問題行動」を叱るのは、おすすめしません。

なぜだと思われますか?


勉強内容、学習効率、あるいは頭が悪くて叱られているのか、姿勢や態度が悪くて叱られているのか、お子さんに全く伝わっていないことが多すぎるからです。


「姿勢が悪い」と叱ってしまったことのある親御さんは、お子さんに謝ってください。
親だって、いつもいつも姿勢を正している訳ではないでしょう?
姿勢をなぜ正さねばならないのか、お子さんが納得いく説明はできていないですよね?

見栄えが悪いとか、やる気がなさそうに見える、という、見る側の主観的な問題は、
お子さん本人には理解しにくいです。


他者の主観であるから理解しにくい、態度などの課題と、学習という客観的に重要な課題を、ごちゃまぜにして要求するせいで、
「くっそーえーい全部まとめてめんどくっせ オレシラネ勉強うっざ くそうっざ」となっているケースは本当に多いです。


学習は学習、態度は態度。
それぞれ別に指導してから、学習態度の改善に取り組みましょう。

学習習得も態度も途上状態のお子さんに対して、学習態度が悪い!と叱ることは、お子さんを勉強嫌いにしたい親御さんにすっごくおすすめです(すみませんイヤミです!)。

☆経験を言語化する

叱責から学ぶ経験の言語化を手伝います。
「叱責からでも、学んで生かせばメリット大」というプログラムをお子さん本人の脳にインストールしていきます。
(詳細は過去記事にあります)

世の中は、「優しい世界を目指そう」「社会全体から、パワハラを無くそう」頑張ってはいます。
しかし、実現不能なファンタジーです。

興味のあることしかしない、もしかして、なお子さんにとって、「叱られない世界」は幻想なのです。

だからこそ、親との心の距離が近いうちに、叱責への対処法パターンをひとつひとつ教えてあげるのです。
「叱られないための予防方法」だけでは、決して心身を守れません。
「叱られたらどうするか、緊急時の対応方法」を合わせて教えてあげてください。

☆叱責から学ぶ力の付け方

色々あるとは思いますが、ここでは親御さんご自身も、経験があるような、古典的な方法を示します。
(身近な他人の姿やドラマを利用して、叱責を客観視する訓練もあります)

叱られる+ショックを受ける+冷静さを取り戻す+克服するという経験を繰り返しさせます。

そこでまずは資産と相談です。

一生、他の価値観と接点を持たずに暮らさせてあげられますか?
一生、叱られずに暮らさせてあげられますか?
それならば私共はお役に立てません。

そうでなければ、その子に使えるお金、20年でおいくらですか?
学費生活費以外に年50万~100万あるならば、苦手克服と、「叱責から学ぶ経験をさせる目的の」楽しい体験を、マンツーマンでバランスよくさせましょう。

年50万円未満であれば、お金をかけすぎない、テレビマンガスマホなどを利用した方法を選びましょう。

本人が楽しいと思えることをしているときであれば、叱責のデメリットが出にくく、メリットが得やすいためです。

☆「飴と鞭」のバランス

「叱るための楽しいこと」、これにはものすごく大きな個人差や費用の違いがあるので、詳細面談により個々に設定します。

本人の得意な、好ましい行動(音楽、絵画、造形、運動)について、高いレベルを目指させて強く叱り、レジリエンスを鍛えるのは、高い効果があるとされます。
習い事や、学校の授業などでも「上位の子を集中的に叱る」という手法は、わりとよく採用されているようです。

しかし、芸術的な感性や学問的な興味は、割と簡単にしぼんでしまう傾向があるので、テクニックが必要ですし、親がこれをしてしまうと、子どものメンタルバランスに気を配る立場の人が居なくなります。
フォローハイリスクハイリターンです。


気軽にお試し頂くのには、ローリスクミドルリターンなものがよいでしょう。

叱責から学ぶ練習を行うとき、おすすめの活動の3条件として
「一生初心者で問題ないもの(嫌いになっても構わないもの)」
「それ自体が飴になるもの」
「マンツーマンに近いこと」
この3つがあげられます。

勉強や、身を助けるかもしれない唯一の特技について厳しく指導することで、嫌いにさせてしまうとかわいそうです。
ローリスクミドルリターン派は、勉強や唯一の特技を叱責対象にすることは避けましょう。

また、本人がつまらないと思うことでも、いけません。
叱責のダメージが遣り甲斐を超えてしまいます。
本人が楽しいと思えることを選ぶのが重要です。

指導は、1対1に近い状態で行います。親も本人も先生も、他者と比べずに済みますし、本人に自分の上達・成長を認識させやすいためです。


一生初心者で構わないジャンルで、それ自体が飴になること、マンツーマンに近いこと、この3条件に基づき、プランを設定します。

☆叱られて学ぶ機会の設定

さて、先程も示した通り、予算により、旅行先等でたまに楽しむようなことや、テレビスマホマンガなどを「叱られて学ぶ機会」として設定することが多いです。

体を動かすことの好きな子でしたら、ボディーボード、スタンドアップパドル、カヌー、カヤック、水上スキー、アスレチック、スカイダイビング、ニュースポーツ、車椅子競争、自転車好きな子ならサイクリング等「学校教育と関係の薄いスポーツ」がおすすめです。

その子にとって、快感という「飴」が得られやすいものを選びます。
行うこと自体で「飴」が得られる活動であれば、「鞭から学ぶ」という体験とのバランスがとりやすいからです。


前述したように、テレビマンガスマホも快感や達成感という「飴」が得られやすい活動と言えます。
ですから、テレビマンガスマホにおける作法、姿勢も、「叱責から学ぶ経験」として使えることがあります。

☆親が誤学習させていませんか

勉強嫌いな子に対し、勉強のときは姿勢を正さなければ叱るけれども、テレビマンガスマホのときはゴロゴロリラックス姿勢を黙認している、
こんな家庭はありませんか?

それ、禁じ手です。
親が誤学習を誘発しています。(自戒を込めて…)
この方針では、姿勢の悪い子、筋力の弱い子を、筋力の弱い勉強嫌いにする方に誘導しているようなものです。
ゴロゴロが許されるテレビマンガスマホ大好きが加速するのが自然の摂理です。


姿勢や、鉛筆の持ち方を直したいときは、先に筋力のバランスが整えたほうが、直しやすいのです。
勉強と筋トレを同時に行い同時にダメ出しする必要があるでしょうか?
いいえ、一切ありません。

テレビやネットを見させるときこそ、姿勢を正させ、鉛筆を持たせ、なんならノートを取らせることにすればよいのです。

テレビマンガスマホを見せるときは、条件として正しい姿勢を取らせます。映像端末やリモコン、マンガの持ち方、扱い方を徹底させます。

☆変わった子のための変わったルール

「マンガを見る間は必ず机で、ずっと姿勢を正すこと。」「映像を見るときは鉛筆正しく握っておくこと。」
こんなルール、普通じゃないですね!
そう、普通じゃない子なので、育て方も、普通基準にこだわらず、その子にとって向いたものを採用すべきです。

勉強に役立つ腹筋背筋や握力等筋力のバランスを、好きでもない勉強と同時に鍛えるのは苦行です。
しかし、楽しいことと一緒にできれば、意外にすんなり鍛えることができます。

同じ理屈で、「おやつ中、姿勢を正しくしなければ取り上げる」というのもおすすめです。


良識ある親御さんは、そんなのひどい、と思われるかもしれません。

しかし、私たちもしかして発達グレー研究所では、「本人が意味を感じられないことや、嫌なことをさせているときに、勉強と直接関係ない姿勢だの持ち方だのまで叱るほうが、よっぽどひどい」と考えています。


☆勉強も脳の飴になるけれど

勉強を「脳にとっての飴」にするためには、「わかった!できた!楽しい!」のサイクルを手動で回す必要があるのですが、
テレビマンガスマホおやつは、自動的に「脳の飴」になるようにできています。
鞭をふるって、初めて「飴と鞭」のバランスが取れます。

勉強が「こちらがさせたいこと」であれば、ソファであろうが、握り鉛筆であろうが、ひとまず譲りましょう。

テレビマンガスマホを導入する時期にもよりますが、幼児期から徹底すれば、かなりの期間、トレーニングができます。

☆パニックになったら?

どんなにパニックを起こしても、要求を通させないことです。
パニック対応は、幼児期よりも、からだが大きくなってからが本当に大変なのだということを肝に銘じましょう。
幼児期に「パニックを起こせば要求が通る」という体験をさせることは、避けましょう。

頭を壁に打ち付けるのは、脳の角を取って削ることを脳が望んでいるからだと思って良いでしょう。
親は、落ち着いて、壁や床にタオルでも添えてあげればよいのです。

※要求を飲まねばならない例外時もありますよね。
当研究所では、誤学習をさせてはならないという意味では今不当な要求を飲むべきではないが、等という形で、本人が納得しやすいエクスキューズ(言い訳)を用意して、例外に対応しています。


自傷行為はリスクです。
しかし、自傷により要求が通ること、闇雲に脳の力を伸ばすことも、大きなリスク、例えば自殺のリスクにつながるからです。

磨くとは削ること。削る勇気も必要です。


次回は、勉強中叱らないことによる、もうひとつの、そして一生を左右するデメリット「愛されている=叱られない、という誤学習」についてです。

続きます。
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